裏千家 十五代 鵬雲斎 一行幅「壺中日月長」 urasenke the 15th sen, genshitsu hounsai "kochu nichigetsu nagashi"

裏千家 十五代 千玄室 鵬雲斎 1923(大正12) -

裏千家十五代家元。
茶道裏千家前家元十五代汎叟宗室。斎号は鵬雲斎。若宗匠時代は宗興。現在は大宗匠・千玄室と称する。「玄室」の名は、千家四代目の仙叟宗室が宗室襲名前に玄室と名乗っており、これに因んで十二代直叟宗室が隠居した際に玄室を名乗ったことに由来する。

妻は登三子(1930-1999)。長男は現・家元十六代玄黙宗室。父は十四代碩叟宗室(淡々斎宗室)。姉は茶道家・冠婚葬祭評論家の塩月弥栄子。次弟は納屋嘉治・淡交社社長(1925-2004)。

 

壺中日月長  こちゅうじつげつながし

「壺中(こちゅう)」は悠久の時が流れる別天地。「日月長し」とは、時間の過ぎるのがゆっくりだという意味だが、ここでは時間的制約や束縛がないことの捉え。つまり、時間を超越した安らぎの世界のたとえ。

これは次のような話に由来する。後漢の時代、汝南(じょなん=河南省)の費長房(ひちょうぼう)という役人が、市中で薬を売る一人の老人に身を変えた仙人に誘われ壺の中に入った。すると、そこには別天地が広がっており、立派な宮殿の中で美味しいお酒やごちそうの歓待を受けた。やがて費長房はそこで仙道の修行を授けられることになり、十日ほど経ったと思い現実世界に帰ってみると、なんと十数年も経っていたという(『後漢書』方術・費長房伝)。

心が静まっていれば、どこにいても同じ。
一瞬の中に、永遠の心の安らぎを見出したいものである。

出典:『虚堂録』巻八

寿崇節の上堂。至人化を垂れて、形儀有ることを示す。満月の奇姿を開き、山天の瑞相を蘊(つ)む。会すや。主丈を卓して、只だ池上の蟠桃の熟するを知って、覚えず、壺中日月の長きことを。