【売却済】小倉山蒔絵硯箱 gold‐lacquered suzuribako (box used for keeping ink stone and other article) with drawings of ogura-mountain

 

神無月 志ぐるゝまゝに 暗部山
下てるばかり 紅葉志にけり

源師賢(みなもとのもろかた)朝臣

<神無月になり、時雨が降ることで暗部山(の木々)の下は美しく照り返されるぐらい紅葉したのだなぁ>

「神無月」は(旧暦)10月、「志ぐるゝまゝに」は時雨が降ることによって、「暗部山(くらぶやま)」は鞍馬山の古称(歌枕)、「下てるばかり(した照るばかり)」は(紅葉で木の)下が美しく照り映えるほど、「紅葉志にけり(もみぢしにけり)」は紅葉している、をそれぞれ意味する。

金葉和歌集 第四巻(冬歌)に収録。
題に「承暦二年御前にて殿上のをのこども題を探りて歌つかうまつりけるに時雨をとりて」(承暦二年(1078年)、白河天皇の御前で殿上人たちが題を探して詩を(白河天皇に)詩を詠み申し上げる際に「時雨」(の題)を取って)とある。
この歌合は他の金葉和歌集の題から承暦二年四月二十八日に行われた内裏歌合と思われる。